遺産分割の流れは、おおまかにお話しすると以下の通りです。
 まず、被相続人の遺言書があればそれが優先されるので、遺言書の有無を確認します。また、戸籍を確認して相続人の範囲を確定します。
 相続人の範囲に争いがあれば別途、人事訴訟という訴訟により決定する必要があります。
 次に、遺言書がない場合には遺産分割協議を行います。
 遺言書がある場合でも、相続人全員の同意があれば、遺言書と異なる内容の遺産分割協議をすることは原則として問題ありません。
 この点については別の項目でお話ししたいと思います。
 遺産分割協議においては、相続人全員が参加して財産の分け方を協議します。
 ここで協議がまとまれば、遺産分割協議書を作成し、各相続人はそれにしたがって預貯金の払い戻しや不動産登記の移転などを行います。
 遺産分割協議がまとまらなかったり、一部の相続人が話し合いに応じなかったりする場合には、相続人の1人が家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てを行います。
 遺産分割調停では、裁判官と調停委員からなる調停委員会が各相続人の言い分を聞いて解決案を提示したり、解決のために必要な助言をしたりしてくれます。
 ここで相続人全員の合意が得られれば、裁判所が遺産分割調停調書を作成し、各相続人はそれにしたがって預貯金の払い戻しや不動産登記の移転などを行うことになります。
 遺産分割調停はあくまで話し合いであり、相続人全員の合意が得られなければ不成立となります。
 しかし遺産分割調停が不成立となった場合には、自動的に遺産分割審判へ移行します。
 遺産分割審判は協議や調停とは異なり、話し合いではなく、協議・調停の結果をふまえて裁判官が審判を下すものです。
 遺産分割審判には強制力があるため、各相続人はこれに従わなければなりません。
 したがって、最終的には何らかの形で結論が出ると考えて良いでしょう。

この記事を書いた人

日下 貴弘

略歴
東京都出身。
早稲田実業高等部(商業科)卒業、早稲田大学法学部卒業、中央大学法学部法務研究科修了。
大学卒業後、大手都市銀行に就職。その後、都内弁護士事務所勤務を経て、 2020年、グリーンクローバー法律会計事務所を設立。
代表弁護士・代表税理士。
東京弁護士会所属(税務特別委員会、高齢者・障害者の権利に関する特別委員会)。
東京税理士会本郷支部所属。
日本税務会計学会法律部門学会員。